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BEAPとは
BEAPとはMax 7から導入された音声信号処理のモジュールです。
例えばシンセサイザーを作るために、 従来のMaxでは いくつものオブジェクトを繋いで1つの機能を作り、また他の機能を作って、2つを繋ぐなどの方法でアルゴリズムを組む必要があります。BEAPはそれぞれの機能が既に用意されているので、音響処理を深く理解せずともシンセサイザーを作ることができます。
メッセージではなくシグナルで扱いますので、デジタルではなくアナログのような挙動になります。モジュラー・シンセの扱いと似ています。
シンセサイザーを作る
構成
伝統的なシンセサイザーのように、以下の順番で信号が流れるように作ってみましょう。
- キーボード入力
- VCO (Voltage Controlled Oscillator)|オシレーター
- VCF (Voltage Controlled Filter)|フィルター
- VCA (Voltage Controlled AMp) |アンプ
- 音声出力
BEAPを置く
キーボード
BEAPはパッチ・ウィンドウの左メニューにあります。●で囲まれたbのアイコンがBEAPです。
これをクリックするとモジュールの一覧が表示されます。左がモジュールの種類、右がその内容になります。
まずはキーボード(鍵盤)のモジュールを置いてみます。Keyboardをドラッグしパッチ・ウィンドウにドロップすると
このようなキーボードが書かれたモジュールが配置されます。
VCO|オシレーター
続いてオシレーターのモジュールを置きます。
先程置いたKeyboardの下に配置します。
それでは2つのモジュールを繋げましょう。Keaboardの「1v/oct」と書かれたアウトから、Oscillatorの「CV1」と書かれたインへ結線します。
Keaboardからはピッチに合わせたレベルの信号が出力されます。Oscillatorでは信号レベルを読み取り、それに合う周波数の波形を出力します。
VCF|フィルター
続いてはフィルターです。今回はロー・パス・フィルターを置いてみましょう。
LPFモジュールを配置したら、Oscillatorの「Signal」からLPFの「Signal」へ結線します。
「Oscillator」から送られた波形はLPFモジュールでフィルターをかけられます。そしてLPFの「Output」からは、フィルターがかかった波形が出力されます。
VCA|アンプ
今度はVCAを配置しましょう。
配置したら、LPFの「Output」からVCAの「Signal」へ結線しましょう。
このVCAモジュールだけでは音量をコントロールすることができません。キーボードのトリガーを受けて、エンベロープを出力するモジュールを用意する必要があります。
エンベロープ・モジュール
エンベロープのモジュールを配置します。
ADSRモジュールはLPFモジュールの右に配置すると配線しやすくなります。
Keyboardの「Gate」をADSRの「Gate」に、ADSRの「Signal」をVCAの「CV」に接続します。
Keyboardの「Gate」からはトリガーになる信号が送られます。ADSRはそれを受け、エンベロープの波形を送信します。VCAでは「Signal」で受けている波形に対して、「CV」に入ってきたエンベロープをかけ合わせます。これによって音量のカーブが描かれます。
アウトプット・モジュール
最後にオーディオ出力するためのモジュールを配置します。
VCAの「Output」からStereoの「Left」「Right」それぞれに接続します。
Maxでは最終的に[dac~]や[ezdac~]に接続することで音をスピーカーから出力しますが、このStereoモジュールでも可能です。またモジュール右側で音量コントロールが可能です。
完成
パッチが完成しました。アンロックしてキーボードをクリックすれば音が鳴ります。音が出ない場合は以下を見直してみてください:
- PC/オーディオ・インターフェイスの音量設定が低い
- オーディオ・デバイスの設定が間違っている (Menu: Options > Audio Status…)
- 配線・モジュールが間違っている。