目次
BEAPとは
BEAPとはMax 7から導入された音声信号処理のモジュールです。
例えばシンセサイザーを作るために、 従来のMaxでは いくつものオブジェクトを繋いで1つの機能を作り、また他の機能を作って、2つを繋ぐなどの方法でアルゴリズムを組む必要があります。BEAPはそれぞれの機能が既に用意されているので、音響処理を深く理解せずともシンセサイザーを作ることができます。
メッセージではなくシグナルで扱いますので、デジタルではなくアナログのような挙動になります。モジュラー・シンセの扱いと似ています。
シンセサイザーを作る
構成
伝統的なシンセサイザーのように、以下の順番で信号が流れるように作ってみましょう。
- キーボード入力
- VCO (Voltage Controlled Oscillator)|オシレーター
- VCF (Voltage Controlled Filter)|フィルター
- VCA (Voltage Controlled AMp) |アンプ
- 音声出力
BEAPを置く
キーボード
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-28-791x1024.png)
BEAPはパッチ・ウィンドウの左メニューにあります。●で囲まれたbのアイコンがBEAPです。
これをクリックするとモジュールの一覧が表示されます。左がモジュールの種類、右がその内容になります。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-29.png)
まずはキーボード(鍵盤)のモジュールを置いてみます。Keyboardをドラッグしパッチ・ウィンドウにドロップすると
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-30-1024x231.png)
このようなキーボードが書かれたモジュールが配置されます。
VCO|オシレーター
続いてオシレーターのモジュールを置きます。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-31.png)
先程置いたKeyboardの下に配置します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-32-1024x504.png)
それでは2つのモジュールを繋げましょう。Keaboardの「1v/oct」と書かれたアウトから、Oscillatorの「CV1」と書かれたインへ結線します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-33-1024x502.png)
Keaboardからはピッチに合わせたレベルの信号が出力されます。Oscillatorでは信号レベルを読み取り、それに合う周波数の波形を出力します。
VCF|フィルター
続いてはフィルターです。今回はロー・パス・フィルターを置いてみましょう。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-34.png)
LPFモジュールを配置したら、Oscillatorの「Signal」からLPFの「Signal」へ結線します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-35.png)
「Oscillator」から送られた波形はLPFモジュールでフィルターをかけられます。そしてLPFの「Output」からは、フィルターがかかった波形が出力されます。
VCA|アンプ
今度はVCAを配置しましょう。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-36.png)
配置したら、LPFの「Output」からVCAの「Signal」へ結線しましょう。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-37.png)
このVCAモジュールだけでは音量をコントロールすることができません。キーボードのトリガーを受けて、エンベロープを出力するモジュールを用意する必要があります。
エンベロープ・モジュール
エンベロープのモジュールを配置します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-38.png)
ADSRモジュールはLPFモジュールの右に配置すると配線しやすくなります。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-39-1024x975.png)
Keyboardの「Gate」をADSRの「Gate」に、ADSRの「Signal」をVCAの「CV」に接続します。
Keyboardの「Gate」からはトリガーになる信号が送られます。ADSRはそれを受け、エンベロープの波形を送信します。VCAでは「Signal」で受けている波形に対して、「CV」に入ってきたエンベロープをかけ合わせます。これによって音量のカーブが描かれます。
アウトプット・モジュール
最後にオーディオ出力するためのモジュールを配置します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-40.png)
VCAの「Output」からStereoの「Left」「Right」それぞれに接続します。
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-41.png)
Maxでは最終的に[dac~]や[ezdac~]に接続することで音をスピーカーから出力しますが、このStereoモジュールでも可能です。またモジュール右側で音量コントロールが可能です。
完成
![](https://numeralcreation.info/wp-content/uploads/2019/10/image-42-864x1024.png)
パッチが完成しました。アンロックしてキーボードをクリックすれば音が鳴ります。音が出ない場合は以下を見直してみてください:
- PC/オーディオ・インターフェイスの音量設定が低い
- オーディオ・デバイスの設定が間違っている (Menu: Options > Audio Status…)
- 配線・モジュールが間違っている。